第773回ランキング
- 第 1 位 ( △ )
NHK総合・大河ドラマ「西郷どん」テーマ音楽 [富貴晴美] - 第 2 位 ( ▽ )
Maika Loubté “THE CHOYA 2017”
CHOYA 成熟篇 テレビCM音楽 - 第 3 位 ( ⇒ )
NBS 東海テレビ・オトナの土ドラ「オーファン・ブラック ~ 七つの遺伝子」劇中効果音楽 [fox capture plan]
♪ 1位 4週、登場 5週。 - 第 4 位 ( ★ )
TSB YTV・プラチナイト 木曜ドラマF「リピート ~ 運命を変える10か月」劇中効果音楽 [松本晃彦]
♪ 効果音に隣接したトラックが多い中で、洗練された劇伴佳曲もあります。 - 第 5 位 ( ⇒ )
The Lumineers “Scotland”
NHK BSプレミアム・海外ドラマ「クイーン・メアリー ~ 愛と欲望の迷宮」テーマ曲
2006年の週間選曲リストで、とあるドキュメンタリー番組のテーマ曲をリストインさせた事がありました。そのドキュメンタリーは、北朝鮮つまり朝鮮民主主義人民共和国の内情をリポートした番組で、相当踏み込んだ内容でした。週間選曲リストの対象に例外は ありません。そのテーマ曲に繊細なテイストを感じ、美しい放送音楽としてリストインさせたのです。
ところがその直後から、アクセス解析に不可思議な記録が残り始めました。このテーマ音楽を制作した音楽グループの名前を検索して、このブログへ何度も訪問してくるのです。このドキュメンタリー番組でクレジットされた制作スタッフを、漏らす事なく検索している様でした。このブログに直接の連絡メール等は 一切ありませんでしたが、なにか不気味なものを感じました。
北朝鮮の一般向けラジオ放送は、3系統に分かれています。国内向けの 朝鮮中央放送、在日同胞を含む対外向けの 平壌放送、そして「平壌FM放送」です。平壌FM放送は、1989年に開局し、平壌を始め主要都市から音楽を主体にしたFM波による放送を続けています。定時の時報やステーションコール以外は 極力アナウンスが抑えられ、音楽だけを流している専門放送局です。
朝鮮中央放送や平壌放送は、トークを中心にプロパガンダ一色で染め上げられています。特に平壌放送 午前 0時の時報直後、遊撃隊行進曲という軍歌マーチがオンエアーされると、突如始まる数字の読み上げ。それは、まさしく対外諜報工作員向けの乱数暗号放送でした。その底知れぬ威圧感に比べれば、平壌FM放送には、リスナーサイドに立脚した ある程度の明るさがあります。
オンエアーされる曲は、もちろん革命歌や朝鮮歌謡が主体で、やはりプロパガンダ色を感じさせますが、YouTubeで平壌FM放送を聴いてみて、日本の歌謡曲も流れていたのには驚きました。その曲は 森昌子の「おかあさん」という曲で、もちろん北朝鮮の女性歌手が歌っていましたが、1番の歌詞は 紛れもなく日本語でした。事前検閲され、是認の上で放送されたはずです。
それと平壌FM放送の選曲や放送順には、和声感を気付かせるほどのセンスがあります。選曲者には、楽譜を読めるレベルの音楽的素養があると思わずにはいられません。その選曲センスは、真逆な(笑)在日米軍放送AFNの 24/7フォーマットに似た印象さえ受けています。やはり 旧ソ連の全連邦第2放送「Mayak(マヤーク)」がモデルなのかも知れません。
北朝鮮の公民の多くは、チューニングする余地がない有線伝搬方式で、ラジオ放送を聴いています。平壌を訪れた外国人旅行客によると、平壌市内のホテルで、持参したFMラジオを使いチューニングしたところ、13波近く同一の平壌放送が受信され、残り 1波 105・2MHzだけ別の放送。つまり平壌FM放送が受信でき、その独自性は、明らかになっています。
平壌市 と ソウル市は 200キロしか離れていません。今度の五輪開催都市との直線距離は 300キロです。平壌FM放送は、ソウル市内でも屋外アンテナ設備があれば受信可能です。平昌冬季五輪が開催される今、何事も無いかの様に放送を続ける平壌FM放送に、深いプロパガンダの意図と、意外にも日本のFM放送より削ぎ落とされた音楽放送局としての均整さを感じます。