第739回ランキング
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LOVE PSYCHEDELICO “Might fall in love”
♪ 少し和声的に枯れた感じを受けましたが、ルーツミュージック テイストの際立つ佳曲
平成の玉音放送とも言われる、天皇陛下のビデオメッセージ一斉放送があったのは 昨年の 8月でした。天皇陛下の ご意向を組んだ政府は、国会の内々の同意を得て「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」の法案を、19日に提出しました。これによって今上天皇退位 と 新天皇即位日からの改元が確実となりました。新元号の発表は、皇位継承前に予定されています。
この世の中には 沢山のマニアの方が いらっしゃいますが、私は 風変わりな法律マニアで、愛読書の1冊が、明治憲法 と 旧皇室典範の逐条解説書である伊藤博文 著の「憲法義解」。岩波文庫版を擦りきれるほど読んでいます。また近代ドイツの法律書籍も所有しています。そのくせ日本の民法や 会社法は、殆ど興味がなく(笑)結局持っている資格は、行政書士ひとつだけです。
そんな風変わりな法律マニアの私としては、今回の退位特例法に大変興味を引かれました。この「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」を、マスコミが解説しない切り口で読み解いてみると、今までの法律にない特別なパワーが見えてきます。この退位特例法は、本則が僅か 5条。それに対して附則が 倍の 11条あります。その附則に、この法律の核心部があるのです。
この法律は、国会で成立し公布されても即日施行されません。一部条規を除き、公布から 3年内の政令で定める日が施行日となり、その施行日が退位日です。法律が有効になると、即日 天皇陛下は ご退位となります。またマスコミが取り上げない重要条文が 附則 2条にあります。施行日までに万が一陛下がご崩御された場合、この法律は効力を失う 自動失効の規定があるのです。
さらに退位特例法が 憲法 2条違反になる事を避けるため、従前の皇室典範 と 退位特例法が一体を成すと、皇室典範の附則に加えています。つまり この退位特例法は、皇室典範の条規でもあるのです。その皇室典範の一部改正は、退位特例法を通じて行っており、他にも宮内庁法や 国民の祝日に関する法律も、この退位特例法の附則を通じて一部改正しています。
本来ならば皇室典範・宮内庁法・国民の祝日に関する法律の一部改正案も、セットで提出するのが筋なのですが、この退位特例法は 施行日 と 自動失効 に特別な規定のある法律ですので、他法律まで新法律を通じて改正してしまう特例法なのです。法学的な議論があるかも知れませんが、私は この退位特例法が、戦後初めて制定された優位性のある特別な法律だと考えています。
退位された後の今上陛下は「上皇」と称すると本則 3条に規定されていますが、附則 4条には 検察審査会員の職務に関して、上皇は 天皇の例によるとの唐突な規定もあります。1948年(昭和23年)に制定された検察審査会法は、検察官による起訴・不起訴の決定が正当かどうかを審査する検察審査会の設置を定めた法律です。検察審査会の活動は、時々 報道されています。
占領当時 米国の陪審員制度を参考にGHQの強い肝煎りで作られた検察審査会法は、第2条に検察審査員になれない者として、まず天皇、皇后、太皇太后、皇太后及び皇嗣と、とてつもないポジション(笑)から規定されているのです。いかにもGHQ施政下で作られた法制度です。元々 検察審査員は、公職選挙人名簿を使った抽選で決まり、皇族から絶対に選ばれません。
しかし検察審査会法に規定がある以上、上皇も加えると退位特例法に念のため規定したのだと思われます。なお皇族は、皇室会議 議員 及び 予備議員の選挙権 と 被選挙権(互選権)を有しています。この退位特例法の施行日 つまり退位日を定める際は、内閣総理大臣が皇室会議の意見を聴かなければならないと附則 1条2項に定められており、皇室会議が開催されるはずです。
全ての法律の公布には、天皇陛下が御署名して 御璽を押させる事が必要です。陛下は どのようなお気持で、この法律に御署名なさるのでしょうか? 本則僅か 5条、附則が 11条から成る「天皇の退位等に関する皇室典範特例法」は、風変わりな法律マニア(笑)である私から見ても、明治維新以来の近代全法律 そして全布告を通じて、類例がない特別な法律なのです。
(追記) 皇室会議の意見聴取を経て、ご退位は 2019年(平成31年)4月30日。ご即位は 翌 5月 1日と政令決定しました。