第1110回ランキング
- 第 1 位 ( ⇒ )
Brenda Russell “Piano In The Dark”
The official YouTube channel - 第 2 位 ( ⇒ )
NBS カンテレ・ドラマ「マウンテンドクター」劇中効果音楽 [林ゆうき] - 第 3 位 ( ⇒ )
TSB 日テレ・土ドラ9「GO HOME 〜 警視庁身元不明人相談室」劇中効果音楽[横山克] - 第 4 位 ( ★ )
Beverley Craven “Promise Me”
The official YouTube channel VEVO
♪ 動画サイトで聴かれ続けている完成された旋律と調性を有したバラード秀逸曲。 - 第 5 位 ( ▽ )
NHKオンデマンド・大河ドラマ「太平記」テーマ音楽[三枝成彰]
台風の進路予想は、気象庁が統一発表しており、扇形の先端が円になって その進路を示します。国内では他に、在日米軍が進路予想を発表してきました。現在では、ハワイにある Joint Typhoon Warning Center(JTWC)が進路予想を担当。円でなく点で、シャープに台風の位置を予想しています。今回の台風10号は、両者共に進路予想が毎日大きく変わる珍しいケースでした。
「台風クラブ」(1985年)という映画がありました。台風襲来時における少年少女達の異様な高揚感 と 行動を追った奇作です。かく言う私も、木造住宅に住んだ事がなかったからなのか、自宅に気圧計まで設置しているからなのか、浜松市長ではなくとも(笑)この高揚感を理解出来ない訳ではありません。そして台風時には、決まってある楽曲を想起してしまうのです。
その曲とは、渡辺美里「嵐ヶ丘」です。同じタイトルでは、Kate Bushの代表曲があり、文学の世界に世界の十大小説に数えられる名作もあります。有名な 2例に比べれば、渡辺美里の嵐ヶ丘は、シングルカットもされていないアルバム収録曲です。されどこの曲こそ、天才編曲者・大村雅朗 そして 小室哲哉、渡辺美里の才能が一体になった名曲だと思ってきました。
この嵐ヶ丘をメッセージソングと捉える方が多いのですが、音楽的に考察すると、歌詞の内容よりもイントロ・アウトロの約 2分間に、嵐ヶ丘の魅力 と 優秀性が凝縮されている感じがしてなりません。5分00秒ある楽曲の中で、イントロ・アウトロが約 2分近くも占めているのです。このイントロ・アウトロの和音構成つまり進行こそ、嵐ヶ丘の核心表現に違いありません。
イントロの打ち込み和音は、大村・小室ラインでなければ譜的に採用する事が難しい、実に聴感に残る大胆なもので、和音繰り返しでありながら、僅かに度を変化させています。前半のキーボード主体から後半の打楽器を乗せていく和声は 実に美しく、特にDrs.の刻むリズムは、Drs.でありながら旋律的役割を果たしており、さらにコーラス リフレインの調性も見事です。
このイントロの直後、エフェクトの効いた渡辺美里の歌唱冒頭「新聞の片隅に」。この小節だけで歌唱が既に完成しています。そしてアウトロです。イントロ部がベースですが、さらに多楽器による和音を重ねており、中には雷鳴に模したパーカッション打ち込みまで含まれています。ここまで聴感から心底を掴む様なイントロ・アウトロのポピュラーソングは、類例が殆どありません。
開局したばかりのFM横浜で生放送されていた「ヨコハマラジオナイト 〜 渡辺美里ノーサイドステーション」で、この楽曲を初聴した時の感銘は、今でも忘れる事ができません。何故か台風が来ると想起する(笑)この「嵐ヶ丘」こそ、シングルカットされませんでしたが、イントロ・アウトロ、そして歌唱冒頭だけで、音楽的に完成してしまっている渡辺美里 最高の楽曲です。