第1035回ランキング
- 第 1 位 ( △ )
abn テレ朝・土曜ナイトドラマ「6秒間の軌跡 ~ 花火師・望月星太郎の憂鬱」劇中効果音楽[森英治] - 第 2 位 ( △ )
LINKIN PARK “LOST” - 第 3 位 ( ▽ )
Aimer “escalate”
BS11・アニメ “NieR:Automata Ver1.1a” オープニングテーマ - 第 4 位 ( ⇒ )
NHKオンデマンド・大河ドラマ「春日局」テーマ音楽[坂田晃一] - 第 5 位 ( ★ )
松本伊代「信じかたを教えて」
YouTube 2022 New Vocal Version
♪ 旧世代アイドルの楽曲の中では、実に美しく卓越したアレンジです。
地上波テレビドラマの人気低迷が続いています。ビデオリサーチ社による関東地区世帯視聴率で見てみると、各話全体の平均値で 10%を突破しているのは、朝ドラ・大河 と 相棒だけ。他のドラマは、全てヒトケタ台という状態です。特にフジテレビ(CX)では、プライムタイム 1時間の新作ドラマが、平均 3%台。エピソードによっては 2%という結果まで出ています。
テレビ局も反省する段階は、とうに過ぎ(笑)個人視聴率の世代別データから利用できるところを切り取って、開き直り と 微差勝利宣言(笑)をする有様です。もはやラジオ聴取率調査の現状に近接してきました。統計学的な誤差の範囲内では、勝者など存在せず、0%すなわち ※印までグループなのです。地上波テレビドラマの新作には、どこを探しても明日が見えません。
そんな中でも、良質なドラマは 散見できます。abn テレ朝の土曜ナイトドラマ「6秒間の軌跡 ~ 花火師・望月星太郎の憂鬱」は、今クール視続けている良質なドラマのひとつです。放送時間帯は、毎週土曜日 23時30分から。視聴率 3%前後でも許容される時間帯です。もしかすると もはや新作のテレビドラマは、深夜やBSなどでしか存在出来ないのかも知れません。
高橋一生 と 橋爪功のダブル主役。クレ順も両名連記になっています。そこに本田翼、原田美枝子、小久保寿人が共演。レギュラーを絞ったキャスティングです。コロナ禍で仕事が激減した花火師の仕事場を舞台に、急逝した父親が幽霊となって現れ、息子の妄想から偽幽霊まで現れる、さらにその幽霊達と、過去に向き合い日常生活を重ねていくファンタジーなドラマです。
その父親の幽霊・偽幽霊を、名優・橋爪功が好演しています。幽霊の存在でだけでも現実離れした怪奇現象そのものなのに、偽幽霊に至っては、統合失調症に罹患しているのではないか? と思えるほど(笑)異様なドラマ設定ですが、名優・橋爪功が上手く演じています。特に第7話の幽霊・偽幽霊の対決シーンでは、表情の変化や演技に見事なコントラストがありました。
このドラマは、スタジオ演劇に類します。高橋一生 演じる望月星太郎 と 幽霊となった父親との長回しの会話シーンは、口喧嘩でありディベートでもあり、極めてレベルの高い演技です。さらに高橋一生 と 本田翼、高橋一生 と 原田美枝子、さらに高橋一生 と 偽幽霊との会話シーンも秀でていて、ナレーションを挟めば、そのままラジオドラマでも通用する域まで達しています。
音楽は、80年代のニューウェイブバンド「ピカソ」のメンバー 森英治。さらに音楽プロデュースをS.E.N.S. Companyが担当。S.E.N.S. Companyは、音楽制作を主に行っているプロダクションで、森英治も所属しています。劇伴では、Gt.カッティングからストリングスに入るトラックが秀でいて、このブログでもリスト対象になっています。
コロナ禍で職業としての花火師は、大変苦労されており、その逆境の世界観に、親子の確執や和解が上手く描かれています。全盛期からテレビドラマとは、全ての制作作品が優れている訳は無く、逆に現在の様な斜陽期でも、優れたドラマが現れ、見つける事が出来るものです。土曜ナイトドラマ「6秒間の軌跡 ~ 花火師・望月星太郎の憂鬱」は、今を表現した優れたドラマです。