第266回ランキング
- 第 1 位 ( ⇒ )
the brilliant green “Ash Like Snow”
SBC MBS・アニメ「機動戦士ガンダム00」オープニング テーマ - 第 2 位 ( △ )
暮部拓哉 “HANA”
NHK総合・ミニ音楽番組「みんなのうた」2 ~ 3月 オンエアー曲 - 第 3 位 ( ▽ )
JONTE「道の先」
abn テレ朝・木曜ミステリー「新・京都迷宮案内」主題歌 - 第 4 位 ( ⇒ )
NHK総合・大河ドラマ「篤姫」テーマ音楽 及び 劇中効果音楽 [吉俣良] - 第 5 位 ( ★ )
YUI “Namidairo”
abn ABC・ドラマ「赤川次郎ミステリー ~ 4姉妹探偵団」主題歌
♪ ヴォーカルにフォークなテイストを感じさせますが、プログレッシブな旋律も有する佳曲。
先月28日から、世界最大の音楽業界誌「ビルボード」が、日本チャートの発表を開始しました。タイトルは、“JAPAN HOT 100”。何かJFL加盟局の日曜午後という雰囲気です(笑)。元々“HOT 100”というネーミングは、ビルボードが造語したもので、発表されるチャートは、CDセールスにAIRPLAYをミックスした総合順位となります。
一方 日本の老舗というか寡占状態を保っている音楽業界誌「オリコン」は、発表している基本のチャートに関して、CDセールスのみを順位決定基準にしているのは 周知の通りです。創業時は、故・小池聰行 前社長が少数のスタッフだけで、全国のレコード売上(実売数)を、文字通り手計算で調べ上げました。そして今日のチャートシステムを独創していったのです。
1968年のチャート発表開始以来、全国の推定売上枚数である「得点」まで発表し続けているのは、世界中の音楽チャートでも類例がありません。小池聰行 前社長の独創です。ビルボードでも、この緻密さは 模倣が出来ませんでした。しかし、オリコンの具体的な集計手法は、徹底した秘密主義で守られています。そのノウハウがブラックボックスから出た事はありません。
ビルボード日本版のチャートには「サウンドスキャン・ジャパン」社のCDセールスデータを使用しています。サウンドスキャン社の親会社は、米国のニールセン社であり、全米のテレビ視聴率から選挙の出口調査まで、統計学に忠実な手法を採っています。サウンドスキャン社 第1回チャート発表の時、意外に演歌が数多くチャートインしていたのは、とても印象的でした。
そして問題は、次の“AIRPLAY”です。この概念は、あまり馴染みがないと思います。ベースは、全国のラジオ放送回数で、ある係数処理がされています。ラジオ局のサービスエリアの規模。そして平均聴取率が加味されているのです。ですから地方ラジオ局のオンエアー 1回と、大都会人気ラジオ局のオンエアー 1回は、大きなポイント差になって集計されます。
今までエアモニとして発表されていたラジオ放送回数のデータは、どこの局のオンエアーも 1回 1ポイントでカウントしていました。ゴールデンタイムでも深夜早朝でも、ラジオ放送回数 1回は 等価等質。しかも同回数なら同順位、単純明快です。しかしこれでは 100位までの差異が生じません。ビルボードは、ラジオ放送回数に推定聴取者数を、係数乗算処理するのです。
ただその乗算処理によって、楽曲の音楽性の優劣が 織り込まれてカウントされる訳では ありません。もし仮に ビルボード日本版のチャートが、オリコンを超える存在まで成長すれば、JFNの全国ネット番組でのオンエアーが重視され、プロモーション活動なども変わってくるのではないかと予想されます。またダウンロード回数などの新データも加味される可能性もあります。
ともあれ新しいチャートの普及には、そのチャートを発表するラジオ番組が不可欠です。ビルボードを普及させたのも「全米トップ40」という世界中にネットされたラジオ番組の存在がありました。しかし、新規のラジオチャート番組を開拓していくのは、困難が伴うと思われるのです。ビルボードの日本版チャートが、これからどの程度広がりを見せるのか注目しています。
(追記) 週間放送視聴日記(2016年 1月29日)に、全米音楽チャート制作の現状を掲載しました。