第865回ランキング
- 第 1 位 ( ⇒ )
城南海 ~ きずきみなみ “ONE”
テレビ東京・金曜8時のドラマ「特命刑事 カクホの女2」主題歌 - 第 2 位 ( ⇒ )
CS AXN・外国テレビドラマ「刑事コジャック」前期シリーズ 劇中効果音楽[John Cacavas] - 第 3 位 ( △ )
松任谷由実「深海の街」
テレビ東京・報道番組「ワールド ビジネス サテライト」エンディング テーマ曲 - 第 4 位 ( ★ )
abn テレ朝・金曜ナイトドラマ「時効警察はじめました」劇中効果音楽 [坂口修]
♪ シリーズ当初から変わらない、旋律だけで和声表現を感じさせる劇伴佳曲。リスト対象は、霧山修一朗のテーマトラックです。 - 第 5 位 ( ▽ )
テレビ東京・単発ドラマ「さすらい署長スペシャル」劇中効果音楽 [濱田貴司]
先日 北海道のHBCラジオ と STVラジオのタイムテーブルをチェックする機会がありました。AM放送廃止が既定路線となる中で、広大なサービスエリアを有する両局共に、全国で唯一AM放送が続く可能性のあるラジオ局です。しかし、HBCラジオ も STVラジオ も、札幌本局のAM送信が続くのか? それとも一部中継局だけになるのか? 現状では 全く判りません。
その両局の最新タイムテーブルをチェックしてみると、HBCラジオの ベストテンほっかいどう は、週間ランキングのみ片隅で放送を続けていました。radikoプレミアムで聴いてみましたが、これは ベストテンほっかいどう でないと断言できるほど変質しており、STVラジオに至っては、どこを探しても ハイ!ダイヤルリクエストです の片鱗もない状態でした。
毎日ランキンクを読み上げていたミスターデーブマンも、今年で七回忌になります。ハロードライバー ベストテンほっかいどうは、遠く忘却の彼方へと誘われているのです。ふきのとう「白い冬」ビリージョエル「ストレンジャー」など、全国動向にない孤高の総合 1位が彩られている中で、ちょうど今頃の季節になると思い出すのが、大橋純子「たそがれマイラブ」です。
大橋純子「たそがれマイラブ」は、TBSテレビの 3時間ドラマ「獅子のごとく」の主題歌でした。スポンサーは 日立の一社提供で、本放送が 1978年。その年は「ザ・ベストテン」の放送初年度で、視聴率 30%を叩き出し始めていた頃でした。全国ヒットとなった「たそがれマイラブ」は、そのザ・ベストテンにも登場します。最高 6位、登場 5週でした。
されど、HBC ハロードライバー ベストテンほっかいどう では、連日 1位をマークしていました。週間ランキングの ダイナミック ベストテンほっかいどう を加えると、月曜から土曜まで連日総合 1位として、HBCラジオからフルコーラスでオンエアーされていたのです。私の音楽チャートマニア歴で鮮烈な印象を残したのが、この「たそがれマイラブ」でした。
「たそがれマイラブ」の大きな音楽的特徴は、あのEBによる和音構成です。曲調は、ニューミュージックというより歌謡曲なのですが、イントロから終奏部まで、EGやDrを伴いながら貫かれているEB和音構成は、編曲者・筒見京平の最高傑作と断言出来ます。オリエンテッド・ロックに類するのかも知れませんが、日本古来からある宗教音楽特有の和音階を感じる事もあります。
その独創的なEB(エレクトリック ベース)の和音構成に、ストリングス、サックス、そして 大橋純子のヴォーカルが重なっていきます。渡辺真知子「ブルー」の時にも書きましたが、この様に伴奏の独立性が高い楽曲は、高い能力で伴奏と闘うようなヴォーカルを維持しなければならないのです。ですから「ブルー」と同じ様に、後年アカペラ落としで唄う事が多くなります。
されど「たそがれマイラブ」は、やはりオリジナルのアレンジが総てです。楽曲の心臓音とも言える、あのEBの和音構成。そしてストリングスからヴォーカルまで一体化したアレンジは、極めて美しい和声を醸し出し、我が国邦楽シングル楽曲の中でも十指に入る優れた作品を創造しました。この楽曲の和声を どの程度理解出来るかで、個々の音楽素養が解ってしまうほどです。
HBC ハロードライバー ベストテンほっかいどう は、私のチャートマニア人生(笑)において、最も思い出のある番組です。音楽的に優れた楽曲が、洋邦問わず上位にランクされ、それを毎日聴く事が出来たお陰で、美しい音楽を美しく感じる事が出来る私の和声感・調性感が錬成されたと思います。大橋純子「たそがれマイラブ」は、そんな私にとって最も美しい邦楽曲なのです。