第848回ランキング
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Qyoto「花時雨」
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♪ 歌謡曲的な調性を感じますが、旋律は ロックテイストを貫いている佳曲。 - 第 5 位 ( ⇒ )
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幼い頃に眠い目を擦りながら、そして今でも鮮明に記憶として焼き付いているアポロ11号の月着陸生中継から 50年だそうです。歴史的な月着陸ではなく(笑)月着陸生中継と書いたのには、こだわりがあります。あの日NHK総合テレビで視た「アポロ11号 月着陸生中継」の信じられないほどの斬新さは、実際の月着陸という歴史的出来事よりも鮮明な思い出なのです。
1969年 7月21日早朝、アポロ11号の月着陸船「イーグル」が人類初の月着陸を敢行した時の日本国内のテレビ放送体制は、世界中が注目した大偉業だけに、当時は放送を休止していた、深夜から早朝の時間帯にもかかわらず、NHKや民放テレビは、月着陸ミッションに入る前から、約 10時間にも及ぶ特設ニュースや報道特別番組が編成されました。
ところが生中継といっても、月着陸までの画像は、アポロ11号から送られてこないのです。イーグル と 米・ヒューストン宇宙センター間の英語による交信音声だけでした。民放は、その音声を流しただけですが、NHKは違っていました。50年前にまだ世界でも珍しいコンピューターシステムを、NHKは導入していたのです。それを生中継に利用しました。
「NHKコンピューター」の表示と題し、月着陸コースに対するイーグルの現在位置のシュミレーションを同時進行画像として、交信音声と一緒に放送したのです。まだパソコンやネットも無い時代に、このシュミレーションは 極めて斬新でした。イーグル月着陸の瞬間、家庭にいる視聴者がまるでヒューストンのコントロール・ルームにいる様な感動を与えてくれました。
イーグル と ヒューストン宇宙センター間の英語交信音声は、西山千という名人的な同時通訳者が、日本語で放送。日本までは、短波で音声が送られたため、当然フェージングやノイズがありましたが、上手く繋いで同時通訳していました。特に着陸直前の時、平地を懸命に探すイーグルを「もう少し前方!前方!」と交信の同時通訳から見事に表現していたのです。
またスタジオには、村野賢哉・NHK解説委員がいました。アポロ計画の進捗状況を、当初から打てば響くような名解説をし、生中継でも瞬時に的確な解説をしていました。西山千、村野賢哉、そしてNHKコンピューターの表示。早朝 5時台でありながら、NHK総合のアポロ11号月着陸生中継の瞬間最高視聴率は、なんと 68・3%(NHK発表)を記録しています。
私は「特別番組 アポロ11号の偉業」を保存しています。これは 30年ほど前、NHK衛星第2放送でリピートされた時に録画したもので、月着陸生中継も再放送しています。今見るとNHKコンピューターの表示は、原始時代の壁画の様な趣き(笑)がありますが、イーグルが着陸した瞬間に、点滅していたエンジン噴射シュミレーションがピタッと止まるのは見事でした。
50年前、アナログ テクノロジーだけで、人類は 月まで行って帰ってきました。それはアメリカ合衆国の財力を傾けてまでも、ソ連との宇宙競争に勝ちたいという一心が可能にさせたのだと思います。そして私は、月着陸よりも NHKの月着陸生中継が、デジタルそしてネット時代の未来を、最初にイメージとして視せてくれた様で、今でも忘れられないのです。