第43回ランキング
- 第 1 位 ( ⇒ )
a.mia “LAT.43゚N”
SBC TBS・ドラマ「エ・アロール」主題歌
♪ アレンジも素晴らしい出来です。 - 第 2 位 ( △ )
Do As Infinity「柊」
SBC TBS・ドラマ「恋文 ~ 私たちが愛した男」主題歌 - 第 3 位 ( △ )
ZARD「もっと近くで 君の横顔見ていたい」
日本酒「月桂冠」テレビCMソング - 第 4 位 ( ▽ )
day after tomorrow “Starry Heavens” - 第 5 位 ( ▽ )
NHK総合・ドキュメンタリー番組「地球に乾杯」テーマ音楽 [羽毛田丈史]
♪ 1位 1週、登場10週。
NBS長野放送(フジ系)木曜劇場「白い巨塔」は、最近の民放ドラマにない重厚な作品との期待が高まっています。ただ 1978年から 1979年にかけて放映された際に、そのドラマの結末を知った私は、まだ少々ドラマに入れきれない気もします。しかし、今回の「白い巨塔」では、加古隆が制作した劇伴音楽に、卓越したものがあるのも事実で、素晴らしいと思います。
あの巨塔が ゆっくり欠け落ちていく、短時間のタイトルバックに流れるメインテーマの劇伴音楽は、崇高さ すら感じさせます。白い巨塔は、医療の現場 と 研究施設 そして医師の頂点とも言える権力機構が複雑に入り組んだ、大学附属病院という世界を赤裸々に描写したドラマです。タイトルバックの巨塔は、まさしく虚実入り混じった大学附属病院の姿そのものなのです。
そして原作者の山崎豊子は、その権力機構としての大学附属病院を駆け上っていく医師に、誅罰的な結末を与え、白い巨塔に住む者達に、無常観を突き付けるのです。一方 同等の能力を有する その医師の友人からは、権力とは無縁の 地に足の着いた医療行為を続ける姿を映し出します。この両者の清濁を際立たせる事によって、高度医療現場を人間臭く表現しています。
この「白い巨塔」は、民放テレビドラマで五指に入るほど重い主題です。現在まで放映されたドラマ本編に関して言えば、井上由美子のシナリオは、しっかり書き上がっています。例えば 末期ガン患者・林田加奈子(木村多江)のエピソードは、オリジナルになく 現代医療の問題点や不可解な国立大学病院の医局組織が、前半の展開で露出していく役割を果たしています。
そして「白い巨塔」の後半は、難解な法廷劇となり、全編を不条理が覆います。ただ今回は、田宮版で 関西の喜劇俳優・曽我廼家明蝶がキャストされていた、義父・財前又一 役を 西田敏行が好演し、ドラマの苦さをオブラートへ包み込むコミカルな演技が、巧くインサートされています。私の様にドラマの筋書きが判り、少し躊躇している視聴者としては 助けられます。
木曜劇場「白い巨塔」は、フジテレビ開局 45周年記念ドラマと題し、民放では珍しい 2クール(6ヵ月)に及ぶ長期放送のため、これからも劇伴音楽に耳を傾けながら視聴を続けていきます。「白い巨塔」は、田宮版も含めて、過去に何回かドラマ化されていますが、このブログの初年度に、大型連続の民放テレビドラマとして放送されるとは思ってもいませんでした。
山崎豊子の作品群は、パターン化され軽薄になりつつある最近の民放テレビドラマの中で、全く異質な着手しにくい題材です。企画の段階から相当な覚悟で、半年に及ぶ放送に踏み切ったのだと思われます。フジテレビ開局 45周年記念ドラマとして、異例の 2クール放送に選ばれた木曜劇場「白い巨塔」。フジテレビジョンのチャレンジと、これからの展開に注目しています。