第305回ランキング
- 第 1 位 ( ⇒ )
平原綾香「ノクターン」
NBS フジ・木曜劇場「風のガーデン」主題歌 - 第 2 位 ( ⇒ )
福原美穂「優しい赤」 - 第 3 位 ( △ )
AC/DC “Rock’N’ Roll Train” - 第 4 位 ( ▽ )
GIRL NEXT DOOR「情熱の代償」
abn ABC・ドラマ「ギラギラ」主題歌 - 第 5 位 ( ★ )
しおり「永遠」
abn テレ朝・木曜ミステリー「おみやさん」主題歌
♪ 旋律やアレンジ イメージは温い感じですが、ドラマのラストシーンとフィットします。
フジテレビ開局 50周年記念ドラマになる木曜劇場「風のガーデン」は、やはりテレビ史に残る様な秀でた作品です。脚本は、倉本聰 書き下ろし。「北の国から」「優しい時間」に続く富良野三部作・最終章という位置付けが、この「風のガーデン」に与えられています。ただこの作品 初回放送前に、レギュラー出演者である緒形拳 氏が急逝してしまう弔事がありました。
「風のガーデン」は、22時からのフジテレビの木曜劇場枠で本放送されています。統括プロデュース(制作総指揮)には、長年 倉本聰とコンビを組んで来た 中村敏夫。全話の演出は、倉本聰と佳きライバル関係にあった脚本家・山田太一の実娘である、宮本理江子 フジテレビ ディレクターが担当しています。舞台は、倉本聰のホームタウンである北海道 富良野市です。
末期癌に冒された主役の麻酔科医・白鳥貞美に 中井貴一。不行跡を咎め絶縁している富良野の開業医の父・白鳥貞三が 緒形拳。知恵遅れの息子・白鳥岳に 神木隆之介を配役。麻酔を担当した末期癌患者の二神達也(奥田瑛二)からプレゼントされた、医療設備搭載のキャンピングカーに乗った貞美が、故郷の富良野へ向かうシーンに、まずドラマの主眼が置かれています。
貞美が富良野へ向かった理由は、最期の夏を潜やかに過ごすためでした。しかし、富良野では 友人そして 父親に存在を知られていきます。深夜に密かに訪ねたキャンピングカーの中で、医療器具や投薬の跡から息子の末期癌に気付き、声なき慟哭をする父親の姿が映し出された第8話「フロックス」ラストシーンは、国民俳優・緒形拳の魂を賭けた凄絶な演技でした。
父親役の緒形拳 氏は、自身が肝臓癌という厳しい状態での撮影が続きました。そして クランクアップ直後から病状が急激に進行し、今年10月 他界。「富良野 三部作・最終章」という倉本聰 自身のシナリオ設定に、超越した意味合いを、緒形拳 氏は ドラマに刻み込んでいます。同じ病床の立場にあって、この父親の役を演じ切れる俳優は、他に存在するでしょうか?
以前 同じ木曜劇場の「Dr.コトー診療所2006」では、島に住んでいる進行胃癌患者・坂野ゆかり(桜井幸子)が、奇跡の回復をするストーリーを軸に据えていました。ストーリーには、唐突な飛躍感がありましたが、難病に苦しむ視聴者の間へ勇気を与えています。しかし、今回の「風のガーデン」は、テーマが異なります。覚悟して視聴しなければならない様です。
主役を演じる中井貴一は、実際に肉親の早逝を経験している俳優です。実父である名優・佐田啓二は、37才の若さで亡くなっています。フジテレビ開局 50周年記念ドラマ「風のガーデン」は、国民俳優・緒形拳 氏の敢然たる遺作として、末期医療 そして 地域医療のあるべき姿は何か? 富良野の美しい花々と共に問いかける、とても意義深いドラマになりそうです。